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設計者コラム

#092 中間像のある光学系

光学系設計をしていると稀にあるのが中間像を持つ光学系。
通常の撮像レンズは撮像面における像を評価すれば良いのですが、中間像を持つ光学系はこの中間像と最終面の像の二つを同時に評価する必要があります。
例えば前段にあたる光学系単体でも使うし、前段+後段を組み合わせても使うというような光学系です。
このような光学系を設計する場合には色々な手段があると思います。

①前段と後段をそれぞれ個別に設計する
②前段と後段を組み合わせた状態で設計する

上記のような方法が一般的かと思います。

 

①の場合は複雑なプロジェクトファイルを作ることなく簡易に設計することが出来ますが、前段に残る収差を後段が引き継ぐということを考慮していないので、組み合わせた時の最終面の像質を正確に評価することが出来ません。

②はマルチコンフィグレーション機能を使えば、前段だけ、後段だけ、前段+後段のそれぞれの状態を同時に評価・設計することが可能です。

Zemaxでは一般的にマルチコンフィグレーションオペランド、IGNRもしくはIGNMを使うことでこれが可能となります。
"一般的に"と言ったのは他にも方法があるからです。
マルチコンフィグレーションを使わずに前段+後段の光学系を設定しておき、メリットファンクションエディタの中で"IMSF"オペランドを使う方法です。
IMSFは指定の面番号を一時的に評価像面に設定するオペランドで、これを宣言した後に記述した収差やMTFのオペランドで指定面での評価や最適化が可能になります。
IMSFオペランドには通常の状態に復帰する設定も可能ですので、必要な評価・最適化を行うオペランドの後にこれを設定すれば最終面が像面に復帰します。
私はコンフィグレーション数をあまり増やしたくない派なので、この方法が好きです。