コプトン光学設計(ロゴ)

レンズ設計・製作、技術・ノウハウ移転サポート

コプトン光学設計コプトン光学設計




設計者コラム

#068 OpTaliXでCRA解析

最近はCMOSやCCDといった電子撮像素子を使うことが普通で、フィルムを使うケースには殆ど出会いません。
この場合、各画角の主光線が像面の法線に対して成す角が撮像素子側の都合で規定されることがよくあります。
大抵これをCRA(Chief Ray Angle)と呼んでいます。

 

Zemaxには『像面に対する入射角』という機能があって、簡単にCRAのプロットが可能です。
OpTaliXにはというと、これが無くてどうにかするしかありません。

 

色々と方法は考えられますが、今回はToolメニューの中にある"User defined graphics"という機能を使って同等の機能を実現してみました。
下図をご覧ください。

fig1

幾つか設定が必要ですが、②と④は必須です。
①、③、⑤はグラフやラベルのタイトルですので設定は任意です。
まず②です。
"Variable parameter"欄には"yan f2"と入力します。
これはyanすなわちY方向画角・像高をf2(つまり第2像高)を使って変化させるという意味です。
事例ではmin=0, max=45, step=1なので、0度から45度まで1度ステップで第2像高を自動変化させるという設定です。
OpTaliX上の画角設定によって適宜変更の必要があります。
また、今回の事例では画角が角度設定になっているのでmax=45は45度の意味になりますが、例えば実像高設定の場合には像高(mm)の意味になりますのでご注意を。

 

次に④です。
"Function"欄には"asin([cy SI W1 F2 0 0])*180/(acos(0)*2)"と入力します。
"cy"はOpTaliXのレンズデータベース変数で、面への方向余弦を意味します。またレンズデータベース変数はこれを解釈して数値変換するという意味で"[]"で全体を囲う必要があります。
"si"は像面番号、"w1"は第1波長を意味しています。今回はw1としていますがこれも適宜変更してください。
f2の右にある"0 0"はxy方向それぞれの相対瞳座標を意味していますが、"0 0"で主光線を指定しています。
それを纏めてarcsineでラジアン単位の角度へ変換し、その後"*180/(acos(0)*2)"で角度単位へ変換しています。
"acos(0)*2"の部分は円周率を計算しています。

 

つまり上記の設定で、②で順次変更されてい行く第2像高画角について、④では第2像高の主光線角を像面で求めているという意味になります。

 

⑥はこれらの設定を後で使いまわすために、設定情報をファイルに保存するための機能になります。

 

以上の設定でプロットしたのが下図になります。

fig2

図の中の赤丸の数字は先ほどの設定画面の数字と対応しています。

 

注意点としては、この解析を実行すると実際に第2像高の設定が変わってしまいますので、その後ファイルを保存する場合には手動で元に戻しておく必要があります。
またZemaxではCRAと同時に上下マージナル光線角も表示されますが、この場合には主光線のみが解析対象になります。
上下マージナル光線の解析を行う場合には"0 0"を"0 1"とか"0 -1"にする必要があります。

 

ZemaxにはあるけどOpTaliXには無い機能やその逆、という場面は良く出くわします。
しかし大抵は既存の機能で同等のモノを実現できますね。