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設計者コラム

#056 Zemaxへ数値入力する場合の注意

光学設計が最終段階になると、数値の丸めを行う場合があります。
曲率半径でしたらニュートン原器に対応した数値へ、厚み・間隔の数値を小終点第4位以下を四捨五入してμm単位に、などです。

 

Zemaxの場合、標準で小数点第3位まで表示する設定になっています。
この場合、第4位以下は四捨五入されて第3位へ繰り込まれている状態です。
これは表示だけの問題であって、内部的には高精度の数値が保持されています。
例えば最適化などを行ったレンズデータエディタの曲率半径や厚み・間隔セルで数値をコピーし、テキストエディタなどに貼りつけると、そのようになっていることが確認出来るかと思います。

 

先ほどの丸めに話を戻します。
例えば厚み・間隔に例を取ります。
表示の上で最小桁がμm単位になっているだけで、内部的には更に下の桁の数値を保持しているわけですから丸めを行うにはキッチリとした数値の再入力が必要なのはお分かりかと思います。
ここでZemaxの場合、重大な問題が発生する可能性があります。

 

厚みが内部的には0.123456789…mmであったと仮定します。
標準の設定では表示上、0.123mmと表示されているハズですね。
しつこいようですが内部的には0.123456789…mmの数値になっているので、これを0.123mmに修正したいと思い、0.123という数値を入力したとします。
勿論、0.123を入力後は表示の上でも入力前と変化なく0.123になっていると思います。
しかし…、セルをコピーしてテキストエディタに貼りつけると…、0.123456789…になっていて入力が無視されているハズです。
先ほど確かに0.123を入力したのに変ですね。

 

試しに0.124や0.122等の表示上の数値とは異なる入力を行った場合はちゃんとその数値が入力・反映されます。

 

どうやらZemaxは、『異なった数値を入力しても、表示上数値が変化ない場合は数値の入力を無視する』という仕様になっている様です。
今回の場合標準の小数点第3位までの表示状態になっていますが、例えば5位まで表示する状態に設定変更すると同様の現象が第6位以下の数値の操作で発生します。
この現象は厚み・間隔だけではなく曲率半径や有効径、非球面係数などあらゆる入力箇所に発生します。

 

なぜこのようなお節介な仕様になっているのかは不明です。
『ちゃんと入力したとおりに数値を反映して下さいよ…』と思います。
ご注意ください。

 

また先ほどの例に戻って、0.1230といったように第4位にゼロを入力するとちゃんとキリの良い数値が内部的にも入力されます。
今回は非常に細かくはありますが、Zemaxがデータ入力を無視することがあるというお話でした。