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設計者コラム

#051 OpTaliXの公差解析(z2o)

OpTaliXにもZemax同様、公差解析機能が搭載されています。
光学設計には公差解析が付き物ですから、当たり前と言えばそうなんですけど。

OpTaliXもZemaxも公差解析機能として以下の3種類の機能が使用可能です。

・感度解析
・逆感度解析
・モンテカルロ解析

搭載されている機能が大きなくくりで同じですので、大雑把に言えば両者対等です。
慣れの問題もあります。

でも色々と弄っていくと、微妙な差が当然ながらありますね。

①公差オペランドはZemaxの方が種類が多い
②組立・加工誤差発生時の光学性能補償に使うコンペンセータ設定は同等か?
③公差判定基準とする収差やMTFのようなパラメータはZemaxはざっくり、OpTaliXは細かく設定可能
④公差スクリプトはZemaxのみ使用可能
⑤モンテカルロ解析の結果をグラフ表示する機能は同等??

①に関してZemaxでは非球面の誤差解析に力が入っていたりするところが目につきますね。

②劣化した性能を回復するためのコンペンセータは両者共複数個を同時に使用可能で、曲率や間隔、レンズシフト・ティルトといった通常考えられるパラメータは恐らく何でも使えます。

③に関してZemaxでは視野全体のMTFやスポット径の平均値といった非常にざっくりした数値の感度解析になりますが、OpTaliXは視野個別のMTFとかスポット径、各種収差、光線情報などが同時に使用可能です。
これは明らかにOpTaliXに軍配上がります。光学設計の色々な場面で多用される『感度表』、『変化表』と呼ばれる数表がサクッと作成可能です。
Zemaxでも工夫をすると同様の事が出来るのですが、ちょっと手順・設定が面倒くさいのです。ですから標準で可能なのは嬉しいですね。

④は言わば公差解析用のマクロ言語のようなもので、組立現場の調整の手順をなぞるようなコンペンセータの使用などが可能です。
例えば、画面中心でMTF値を最大にするようなピント調整を行った後、レンズのシフト調整で像面の倒れを修正するというシミュレーションを含んだ感度解析やモンテカルロ解析が可能になります。
OpTaliXではコンペンセータが複数ある場合には、一気に最適化で調整を行います。先の例ですとピント調整とシフト調整を同時にやるイメージです。
実際には個別に調整を行うことが普通ですので、厳密には現実とちょっと違うシミュレーションになってしまいます。

⑤はモンテカルロ解析の結果得られた公差判定基準指標の分布をヒストグラムや累積分布としてグラフ描画する機能を念頭にしています。
OpTaliXでは問題なくグラフ表示が可能ですが、Zemaxでは恐らくサブスクリプション版しかコレが出来ません。
ハードウエアドングルを使っている方は使えない機能です。
まぁエクセルなど外部プログラムに結果を取り込めば手間がかかるものの、同等の処理は不可能ではないので問題ではないかもしれません。
その訳もあって『同等??』と書きました。

ちなみに、OpTaliXでは以下のような統計グラフが標準で出力可能です。

Tessar_tolerance

以上、色々書きましたが私は特に③に関してOpTaliXがお気に入りです。