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設計者コラム

#049 偏心・ティルト(z2o)

OpTaliXでもZemaxでもエレメントや面の偏心・ティルトが可能です。
Zemaxでは面のプロパティから設定を行う方法と、座標ブレーク面を使って行う方法の二通りが可能です。
なぜ二通りの方法があるのかは良く分かりませんが、プログラムの実装過程や下位互換性の問題なのでは?と想像しています。
座標ブレーク面を使う方法はレンズデータエディタを見れば、偏心・ティルト設定があることが一目瞭然であるというメリットがありますが反面、やたらに面数が増えがちというデメリットもあります。

OpTaliXではZemaxで言うところのレンズデータエディタに相当するSurface Editorの"Standard Data"に対して対象面のTYPE欄で"D"属性を付けた後、"Decenter, Tilts"で偏心・ティルト量を設定します。
下図はその様子を示した図になります。

OpTaliX_SE

回転対称の面を持つ通常の撮像系では、例えば縦の球面収差図などは入射瞳の中心から最大半径までの領域でプロットされます。
下半分の半径に対する分は、上半分と完全に対称形となるため省略されるのが普通です。
下図はZemaxで縦の球面収差図を描いた例です。

Zemax_SA

しかしながら加工組立誤差の影響をシミュレーションする場合などにはエレメントや面の偏心・ティルトを発生させますが、その場合もはや回転対称ではなくなるため縦の球面収差は上下で対称ではなくなります。
Zemaxでは常に上半分の球面収差図しか描けないため、入射瞳直径全域で球面収差がどのようになっているか把握することが出来ません。

一方OpTaliXでは、コマンドFANLで下図のように各画角の収差を縦収差としてプロットすることが可能です。
メリジオナル(タンジェンシャル)の球面収差に相当するグラフで、上下で非対称になっている様子が分かります。
これは偏心コマ収差が画面中心から発生しているということを示しています。

OpTaliX_FANL

この例はOpTaliXのサンプルに含まれている"TESSAR.otx"の第2レンズをY方向に0.1mm偏心させた時の結果です。

TESSAR_Trim

OpTaliXは結構細かいところまで配慮が行き届いているな、と思います。