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設計者コラム

#046 ゴースト解析(z2o)

今回はこのゴースト解析をOpTaliXで行う場合の方法です
ゴーストとはレンズの面間で偶数回反射した不要光が最終的に像面に届き、許容できない強度でスポットなどを形成してしまう現象です。
レンズ表面で反射光が発生する以上、原理的には絶対発生するモノです。
大抵、レンズ設計の終盤でゴーストの発生程度を確認する作業があるのですが、強いスポットなどが発見されるとさあ大変。
反射防止コートで逃れられれば良いのですが、そうもいかない場合もしばしばです。
その時はゴースト強度を弱めたり、撮像素子の外側に追い出すなどの設計変更が必要になります。
この時、なるべく本来の結像性能を劣化させないように努力するのですが、これが結構難しい。

通常、Zemaxではシーケンシャルモードで作成したプロジェクトファイルをノンシーケンシャルに変換してゴースト解析を行います。
ノンシーケンシャル機能はProfessionalエディション以上でのみ使用可能です。
光源の位置やレンズへの光線の入射角度といったパラメータを変更した時に、どのようなゴーストが発生するか、その場所・強度や原因となる面の確認と特定を行います。
その後シーケンシャルモードへ戻って、ゴーストから逃れるように最適化を行います。
ある程度改善したら、またノンシーケンシャル側で確認をする繰り返し作業になります。

OpTaliXでは驚くべきことに、シーケンシャルモードのままでゴースト像の再現や、特定のゴーストがどの面間で発生しているか確認が可能です。
OpTaliXにもノンシーケンシャル面があるので、その機能を使っても良いと思うのですが、その必要すらありません。
ゴースト解析に関してはZemaxに慣れた身からすると、驚愕です。
面倒なシーケンシャルモード⇔ノンシーケンシャルモードの行き来が必要ないため、作業性が段違いに向上しますね。

下図は今回検証の対象となるレンズ図および、OpTaliXとZemaxでそれぞれ解析したゴースト像の画像です。

ゴースト比較

色合いや画像解像度の違いはありますが、ほぼ同一の結果が得られました。

次に特定の面間で発生しているゴースト像光路の、OpTaliXを使用した場合の結果です。

ゴースト解析サンプル

赤枠で囲ったウインドウ上部の二組の矢印を使うと、反射する面を移動することが可能です。

ゴースト対策は緩和対象となっているゴーストが改良設計によって改善されても、新たに別のゴーストが出てくることが良くあります。
その都度シーケンシャルモード⇔ノンシーケンシャルモードの行き来をしなくてはならないことを考えますと、同じモードの中で閉じているOpTaliXは大変強力なツールだと思います。