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設計者コラム

#045 フレネルレンズ(z2o)

今回はZemax to OpTaliX(Z2O)として、フレネルレンズについて両者の相違を書きます。
普通のレンズのサグ形状を、複数の輪帯に分割して畳み込んでいるレンズがフレネルレンズですね。
通常の屈折パワーの大きなレンズは曲率半径が小さくなるため中心厚が増えてゴロゴロするなどサイズ的にも問題がありますが、フレネルレンズは非常に薄型になる特徴があります。
しかしながら元々がギザギザですから散乱光が発生したり、内部で全反射を起こして射出ロスが増加する欠点もあります。
それでも照明光学系などではしばしば使われます。

Zemaxではフレネル面が用意されていて一応、フレネルレンズの設計ができることになっています。
しかしこれは輪帯構造を伴わないサグ量ゼロの平面形状ですが、回転対称の偶数次非球面として光を屈折させる面でしかありません。
言葉では分かりにくいと思いますので、下図をご覧ください。

fresnel(Zemax)

 

上図のように平行平板に見えるフレネルレンズですが、ちゃんと集光している様子が分かります。
光線の屈折の様子が分かりやすいように、後面をフレネル面に設定しています。
Zemaxの場合、フレネルレンズの特徴である輪帯のギザギザはありません。フレネル面の設定項目に輪帯数に関するパラメータも無いので当然です。
念のためZemax機能の一つであるサグ表を出してみましたが、サグ量は全面でゼロでした。
強いて言えば輪帯数が無限大のフレネルレンズ扱いです。
平行平板でありながら光線は強制的に屈折するように、内部的に計算処理しているようです。
また設計が終わった段階で何らかの方法を用いて、実際の輪帯構造に落とし込む必要があります。
これが問題で、標準ではこの手段が提供されていません。
ちなみにProfessionalバージョン以上では、ノンシーケンシャルモードで輪帯構造を伴ったフレネルレンズが扱えますので、コンバートするという手もあります。

一方、OpTaliXにもフレネル面が用意されています。
こちらはシーケンシャルモードでも、きちんとしたフレネル面の扱いになっていて下図のようにレンズ図からもこれが分かります。

fresnel(OpTaliX)

また面白いことに収差図を書くと、輪帯に合わせてグラフもギザギザになります。

lateral aberrationFresnel spherical aberration

当たり前なのですが面白いと感じますし、この方が現実に即していると思います。
OpTaliX、機能が色々凝ってますね。