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設計者コラム

#043 光学設計ソフト比較

Zemax to OpTaliX(z2o)第二弾です。
引き続き、OpTaliXの機能検証を行っています。

最近はZemaxのガラスカタログファイルをOpTaliXのガラスカタログファイルにフォーマット変換するプログラムを作成しました。
Zemaxで作っていたユーザガラスカタログや、硝材メーカーさんから新硝種がリリースされると配布されるZemax形式のガラスカタログファイルをすぐにOpTaliXで使うためです。
OpTaliXでは基本的にバージョンアップで自動的にインストールされる方法によって、ガラスカタログファイル更新を行うしか方法がありませんのでプログラム作成で対応しました。

さて機能比較です。
OpTaliXにはOpTaliX-LTとOpTaliX-Proの二つのバージョンがありますが、LTは最適化機能が削られていたりするので本格的に光学系設計を行うには不向きだと思います。
私のような立場ではOpTaliX-Pro一択です。
一方でZEMAXにはStandard, Professional, Premiumの三つのバージョンがあります。私の主観ですがOpTaliX-ProはZEMAX Professionalに機能的に近いのではないかと考えています。
両者とも本当に多機能なので、比較自体が難しいのですがノンシーケンシャル機能が使えるという意味においてそのように思います。

そもそも二つとも別のソフトですので、操作性が全く異なっています。
もうこれは慣れるしかありませんね。
しかしながら他方のソフトでレンズ設計を行っていた人には、もう他方でレンズデータを入力する程度でしたらすぐに可能になるはずです。

その中でもなかなか慣れないのが最適化オペランドの記述方法です。
ZEMAXは表計算ソフトのような画面で、収差制御などのオペランドを記入していくスタイルです。
OpTaliXはテキストエディタのような画面で、オペランドを記述していくスタイルになります。
また両方のマニュアルを比較すると、圧倒的にZEMAXの方がオペランド種類が多いことが印象的です。

ではOpTaliXで最適化の作業に困るかと言うと、そうでもない、という感触です。
それどころか、公差感度を緩めるための設計(減感設計)用オペランドが用意されていることは特筆すべき点です。
通常、光学性能を突き詰めた設計を行うと加工・組立に関する公差が厳しくなるのが普通で、設計段階でアレコレ工夫する必要があります。
このためのオペランドが予め用意されていることは親切だと感じました。

光線収差に関するオペランドも少なく感じました。例えばZEMAXにはメリジオナル方向の光線収差を制御するTRAYというオペランドがありますが、OpTaliXには該当するオペランドがありません(多分)。
しかし各像高、各波長、各ズームポジションで像面位置における光線座標を求めるyというオペランドがあります。
これを使えば全く同じことが可能になります。

$py=1
$f=1
$w=1
$z=1
@tray == [y si f$f w$w z$z 0 $py] - [y si f$f w$w z$z 0 0]

上記の例では、
像高番号1
波長番号1
ズームポジション1
メリジオナル相対瞳座標1
以上の横収差を@trayというマクロ表現で実現しています。
OpTaliXでも、座標や方向余弦と言った基本的な光線情報は得られるので何とかなりそうですね。

移行には慣れや工夫が必要になりそうですが、楽しみながらやっていこうと思います。