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設計者コラム

#034 テレセン性

テレセン性は省略名で、テレセントリック性が正しい名前です。
簡単に言えば各画角の光線(特に主波長の主光線)が撮像素子に対して垂直に入射することを表す言葉です。
光学的にはレンズの射出瞳位置がレンズの物体側無限遠にある状態ですので、必然的に光線は撮像素子に対して垂直に入射することになります。
まだ銀塩フィルムが一般的だった頃にはそれほど重要視されなかった光学特性ですが、CCDやCMOSといった電子撮像素子が一般的になるとセンサの構造起因で垂直入射が求められるようになりました。

例えば下図はテレセン性の悪いレンズの例です。

テレセン性NG

最大画角の光線がセンサの法線に対して入射する角度θがとても大きくなっています。

次にテレセン性の良好なレンズの例です。

テレセン性OK

こちらはかなりθが小さくなっていて前の例よりはテレセン性が良好です。

一般的には撮像面直前のレンズやレンズ群を凸レンズとすることでテレセン性の改善が可能ですが、テレセン性だけではなく色々な収差を同時補正することを考えると必ずしもうまく行かなかったりもします。
スマホ用のレンズもテレセン性が厳しく求められますがセンサ全面に対して一律に垂直入射ではなく、センサ上の位置に応じた角度を守るようにレンズ設計を行う必要があります。これはテレセン性を緩和するためのマイクロレンズがセンサ画素の前に配置されているためです。
設計の自由度がこれによって増加するのですが、逆に像高に応じた角度特性に光学設計によって落とし込むことがまた難しくもあります。