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設計者コラム

#025 ZEMAXの公差解析

光学設計の途中や最終段階では公差解析のステップが絶対必要です。
設計途中では光学設計的には成立するけど、部品の加工・製造能力的にそれはムリという現象が発生することはしばしばあります。
このような場合には、現実的な工程能力で製造できるレベルに光学設計を落とし込みます。これは光学設計者の腕の見せ所な訳です。
また、設計の最終段階では機械図面に記載する必要のある公差を決定する必要があります。
このような解析を行う方法には色々な考え方に基づいて、方法が色々あります。

これを支援するのがZEMAXの公差解析機能です。

結構これが簡単で、標準の設定で解析するとそれなりの結果が得られます。
設計の途中段階で、軽く解析して問題が出ていないか見る目的には非常に便利な機能です。

しかし問題もあって、普通の使い方では製造・加工誤差が発生した時のレスポンスとして何か特定の光学指標の変化情報しか得られません。
普通、撮像レンズの検査工程ではレンズの偏芯・ティルトが発生した際に現れる像面の倒れ状態を見るために画面中心と放射状に取った代表的な像高のMTF値などを取得します。
例えば画面中心を中心点として、45度毎に80%像高をサンプリングすると中心1点+周辺8点の合計9点の値を得る必要がある訳です。

つまりZEMAXの公差解析機能では1点の情報しか得られないため、不十分になります。
これを補うのがZEMAXの公差スクリプトを使う方法で、ZEMAXマクロに似た、大抵の事は何でも出来る便利機能です。
上記のように9点のMTFどころか、調整後の値まで取得できます。

大抵、公差の厳しいレンズ径では『調整』が入ります。
画面中心の性能出しや、周辺の性能を均等に出すために特定のレンズ間隔を動かしたり意図的にシフトする作業です。
この作業を全自動で行い、調整後の性能の統計的分布などをシミュレーションで計算・解析することが出来るようになります。

これ、結構面白い機能なんです。
とてもおススメです。