コプトン光学設計(ロゴ)

レンズ設計・製作、技術・ノウハウ移転サポート

コプトン光学設計コプトン光学設計




設計者コラム

#115 厚み・間隔ソルブについて

レンズの厚み・間隔を決める方法の一つにソルブを使う方法があります。
これは前後の面のサグを考慮に入れて、面と面の間隔が指定した値になるように自動的に決定される方法です。
例えば最適化によって刻々と変化しようとするレンズ厚を一定の値に強制的に決める方法になります。
特に両凸レンズは中心厚が薄くなってくると急速にコバ厚が薄くなってしまい、製造出来ないような形状になってしまう事がよくあります。
このようなことを防ぐためにソルブを使うことがしばしば行われます。

 

色々な場面でこれを使っていると以下のようなデメリットも見えてきます。

 

①最適化がうまく進まない、あるいは強制的に中断される。
②厚みが厚くなる方向の自由度が奪われる。

 

①に関しては最適化アルゴリズムとの相性が悪いためと思われます。
通常の最適化アルゴリズムは、現在の状態からどちらの方向に進むと望ましい結果が得られるかをパラメータの偏微分を計算して判断しています。
ソルブによる強制的な厚みの決定は言ってみれば、"微分が出来ない点"、"不連続点"になるので最適化が進まなくなったり中断する原因となります。
これ、結構ありますね。いつの間にか最適化が終了していて嫌になってしまいます。

 

②に関しては、ソルブは指定したエッジ間隔もしくはコバ厚にしかならないので、例えば厚み・間隔が厚くなれば良い結果が得られるのに…という場合に、これを許さなくなります。

 

という理由から設計の初期にはソルブに頼らず、なるべく最適化によって所望の厚み・間隔を得るように努力した方が良いようです。