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設計者コラム

#112 レンズの温度変化

車載用のレンズ設計では、環境温度に対する変化を抑えなくてはいけない要求仕様が多く設計に大変苦労します。
大抵温度変化幅が150度近くあり、その範囲内で光学性能が殆ど劣化しないという無茶ぶりです。
誤差発生時の光学性能変化はピントずれによる影響が最も大きいことが知られていますが、そのリカバリーにはピント合わせが効果的です。
ですが、いわゆる"オートフォーカス"の機構搭載も許されないことが殆どです。

 

ところで環境温度変化の与える影響はレンズの屈折率、レンズの厚さや曲率半径などのサイズ、レンズ間隔になります。
レンズ間隔はレンズ保持枠の構成にもよりますが、主に保持枠の線膨張係数によって変化します。

 

レンズ設計時にはこれらの影響を加味しながら光学性能を出していくことになります。
中には色収差を高度に補正する必要もあり、そのような場合には異常分散性を持つアッベ数の大きなガラスを使う必要も出てきます。
厄介なのはそのようなガラスは、温度変化による屈折率や厚み変化が大きいことです。
温度が一定ならば良い光学性能が出ますが、温度変化を与えると一気に劣化するという具合です。
設計していて苦労もありますが、楽しい分野でもあります。

 

温度変化の性能変化にお困りの方がいらっしゃいましたらご一報ください。