設計者コラム
#108 面の傾き
レンズ設計が成立しても、製造的に問題のあるポイントというものは幾つかあります。
代表的なのは"感度"と一般的に言われているポイントです。
感度が高いとちょっとした加工・組み立て誤差が発生した場合でも、光学性能がガタ落ちします。
それとは別にレンズ面の傾きもあります。
球面レンズの場合、面の曲率半径に対して光学有効半径が近くなると所謂、サグ量が大きくなりレンズ製造が困難になります。
例えば下図のような場合です。
レンズ左面の曲率半径は50mmなのですが有効半径を48mm程度に取ると、ほぼ半球レンズになってしまいます。
またそのポイントのY軸から計測した面の角度は73度を超えていることが分かります。
非球面の場合には近軸的な曲率半径とサグ量の間には関係がありませんが、非球面係数で大きなサグ量が発生すると同じ問題が起きます。
最適化の場合に、光学有効半径などを指定した箇所で面の傾きが大きくならないようにすればこれらの現象が回避できます。
Zemaxの場合には、メリットファンクションエディタでsdrvオペランドを使用して該当面と光軸から計測した半径を指定すればtanθの値でこの面の傾きθが出力されます。
該当する面番号は3の場合です。
tanθだと直感的に分かりにくい場合には、atanオペランドでsdrvオペランドの行番号を指定してやれば度単位に換算されが値を把握することが可能です。