設計者コラム
#095 Zemaxへのデータ入力の流れ(多波長と光学性能評価)
先月の続きです。
今回は光学系の性能を表す各種グラフを描画していきます。
前回までに概ね、データ入力を完了していますが波長データがまだ終わっていません。
"Ctrl+W"で出てくる波長データを入力するダイアログに下図のように値を入力します。
この例では5波長を使って、その主波長を第4波長すなわち0.588μmにするという意味です。
主波長とは収差などの評価をZemaxで行う場合、他の波長に対する基準となる波長です。
例えば色収差を定量評価する際、主波長の収差量を基準として他の波長の収差量を相対的にZemaxが表示することになります。
次に"Ctrl+R"で横収差グラフを出します。
横収差は、レンズ設計では非常に重要視されている評価方法の一つです。
このグラフからかなりの色々な情報を引き出すことが出来るのですが、読み下すには結構ノウハウが必要です。
そのうち別の機会に説明したいと思います。
出てきた横収差グラフは画角ごとに二つずつペアで表示されています。
どのグラフも基本的にはX軸とピッタリ重なり合うことが理想なのですが、残存する収差の影響で普通はそのようになりません。
次にメニューの"解析⇒収差⇒縦収差"と辿ると、縦収差グラフが出ます。
これは球面収差と球面収差の色収差を評価するグラフです。
画面の中心に関する性能の評価が可能です。
次にメニューの"解析⇒収差⇒像面湾曲と歪曲収差"と辿ります。
ここで出てくるのは左側に像面湾曲、右側に歪曲収差すなわちディストーションの評価が可能となるグラフです。
初期状態では設定した波長全ての振る舞いをグラフ化していますが、下図のように設定すれば特定の波長のみ描画させることも可能です。
ここでは主波長のみで描画しています。
像面湾曲は先ほどの横収差と共に画面周辺の結像状態の評価が可能です。
またディストーションは像の歪みを評価する指標で、他の収差のように像のボケなどとは無関係です。
次は"Ctrl+Shift+S"でスポットダイヤグラムを出します。
スポットダイヤグラムとは各設定像高で観察できる光線の集まり方を視覚的に表現したものです。
これは今までの収差グラフとは異なり、非常に直観的に理解しやすいものですね。
光線の集まり方が良くスポット径が小さいのならば高性能になりますし、収差が大きく結像状態が悪ければスポット径は大きくなります。
次にメニューの"解析⇒拡張光源解析⇒周辺光量比"と辿ると出てくるのが相対照度グラフです。
これは収差に関するグラフではありません。
画面中心を基準とし、周辺側の相対的な像の明るさをグラフ化したものです。
いかがでしょうか。
ざっと代表的な評価に関するグラフを出してみました。
他にも色々な評価項目がありますので試してみてください。
次回以降もこの続きを行う予定です。