設計者コラム
#069 OpTaliXでTriplet最適化
光学設計CADでは、その最適化能力誇示のため、平行平板から出発して最終的にレンズが形になるデモがよくあります。
これと同じようなことをOpTaliXでやってみました。
題材はトリプレット。
大変有名な凸凹凸構成の写真レンズです。
仕様は、
①フルサイズ
②焦点距離50mm
③Fナンバー3.5
④バックフォーカスは無限共役で45.5mm以上
⑤光学全長は70mm以下
以上のようなありふれた仕様を設定しました。
本当は完全な三枚の平行平板からやるのでしょうが、今回は最終面だけ軸上マージナル光線傾角ソルブを使ってベンディングし、入射瞳径と焦点距離の関係から自動的に曲率半径を設定することにしました。
初期状態が以下の図。
もうこの時点で性能は悪いですが50mm F3.5が出ています。
余談ですが、最適化中に焦点距離やFナンバーが変化しないようにするためにソルブ機能を使うのは凄く楽です。
焦点距離とFナンバーが全く変わることが無く、最適化の指標にこれらを加える必要が無いので。
Zemaxにも全く同じ機能がありますね。
最適化は全像高のスポット半径を最小化するオペランドと、④と⑤を制御する部分、光学ディストーションを最小化する部分だけです。
これをOpTaliXのLM最適化(所謂DLS最適化)20ステップ処理しました。
最適化はあっという間です。
その結果が以下の図。
第二レンズの製造性が悪そうですが、結構それっぽくなっています。
光学性能もそこそこ。
こういった場合にはメリットファンクションを適切に書くことが肝要で、間違うととんでもない状態に最適化されてしまいます。
慣れるとこれが簡単に出来るようになりますが、それまでは試行錯誤が必要です。
メリットファンクションを書いて最適化し、ダメだったらundoで元に戻してメリットファンクションを書き直すというトライアル&エラーをやってみれば、なんとなく分かってくると思います。