設計者コラム
#054 Zemaxファイルの下位互換性
Zemaxのファイル下位互換性が取れなくなりました。
具体的には、最新版のZemaxで公差解析を行った後に保存したファイルが旧バージョンで読み込めなくなるという現象です。
ファイルをやり取りしていて発見しました。
旧バージョンで上記のファイルを読み込もうとすると、Zemaxが落ちてFile Collectorが現れるそうです。
手探りで色々と試して検証してみた結果、
①公差解析を行っていないファイルは問題なし。
②感度解析やモンテカルロ解析を行った後に保存したファイルは100%ダメ。
以上の条件が分かってきて、最近のバージョンで新たに実装された『公差解析ビューア』が不味いのでは?と思いました。
旧バージョンでは公差解析を行った後、テキストウインドウが出現して結果の数表などが出力されていました。
最近ではこれがエクセルのようなインターフェースを持つ公差解析ビューアに置き換えられ、結果が見やすくなっていたりグラフが出るようになっています。
グラフ機能はハードウエアドングルを使うZemaxには対応しておらず、サブスクリプション版のみの機能です。
最近、こういうのが多いですね。
ハードウエアドングル版を使うユーザはどんどん肩身が狭くなって来ています。
もうすでにあるファイルに関しては、該当するプロジェクトファイルの拡張子がZDAのファイルを、
・ZMXファイルと同じ階層のフォルダに置かない
・ZDAファイルのファイル名を一時的に変更する
・ZDAファイルを消す
上記の対応で取りあえず開けるようになると思います。
ZDAファイルは解析したグラフの位置や情報、解析結果を保存しているセッションファイルなので、コレが無くても一番重要なレンズデータは消えたりしません。
確かに公差解析前後のZDAファイルのサイズを見ると明らかに違いが出ていて、無理やりテキストエディタで開くと公差解析後のファイルにはあからさまに公差解析結果が入っていることが確認出来ました。
XML的な構造を持つバイナリファイルの様です。
調べてみると、プロジェクト環境設定とシステムエクスプローラーに公差解析結果をファイルに含めるかどうかを選択するオプションを発見しました。
下図のとおりです。
何故2か所に同じオプション設定があるのかは不明な上、ヘルプによりますと実際にどう振舞うかはシステムエクスプローラーの設定で決まるとのこと。
ではオプション設定は1箇所で良いはず。
このオプションで公差解析の結果をファイルに含めないようにしたら、旧バージョンで無事に開けるようになりました。
ファイル互換性くらい保ってくださいよ、というお話でした。