設計者コラム
#053 OpTaliXとZemaxの感度解析結果比較(z2o)
OpTaliXとZemaxで、全く同一のレンズを題材にして得られた感度解析結果の比較を行ってみました。
題材となるレンズは下図のテッサー型レンズです。
与える誤差量は以下のとおりです。
・Newton本数 3本
・厚み、間隔 0.01mm(誤差はその面だけ。他の面の厚み・間隔には波及しない)
・屈折率 0.003
・アッベ数 0.5%
・面シフト 0.02mm
・レンズシフト 0.02mm
・面ティルト 10分(回転中心はその面の極点)
・レンズシフト 10分(回転中心はレンズ第1面の極点)
球面レンズ系なので、面のシフトとティルトは本来同じ現象と見なせます。
ですからどちらかのみ解析を行えば良いのですが、比較のために両方やってみました。
誤差量についてはかなり適当です。
監視する光学指標は以下の設定です。
・軸上 10本/mm MTF
・Y= 11.2mm 10本/mm MTF
・Y=-11.2mm 10本/mm MTF
偏心誤差が入るため、Y方向に対称な像高を設定しています。
誤差が発生するとピント位置がズレますから、そのままMTFの計算を行うと本来の性能を評価していないことになってしまいます。
そのため、画面中心つまり軸上でメリジオナルMTFが最大になるように最適化を行った後で、軸上および軸外のMTF評価を行うようにしています。
以前も書いたことがありますが、Zemaxでは複数の光学指標に関する感度データを通常の方法では一気に出力することが出来ません。
例えば軸上MTFだけ、とかY=11.2mmのMTFだけ、といった感じです。
色々工夫すると同時出力が出来るようにはなるのですが、OpTaliXではそんな苦労をせずとも可能なので便利だと思っています。
レンズ枚数の少ないテッサー型とはいえ、感度計算を行うパラメータの数は43個にもなります。
全てを比較してもあまり意味は無いと考え、感度の高かった主な誤差パラメータ二つについて以下のグラフで散布図を掲載します。
まず第3第4接合レンズを10分ティルトさせた時のケースですが、
・軸上メリジオナル、サジタル
・Y= 11.2mm メリジオナル・サジタル
・Y=-11.2mm メリジオナル・サジタル
上で示す計6点のMTF変化量について散布図を描いています。
OpTaliXとZemaxで全く同じ数値が出るのなら、グラフ中に示すフィッティング直線の傾きは1、y切片は0となるはずです。
ちょっと差が出ていますが、まぁまぁの結果です。
次に厚み・間隔に関する誤差を与えた時のケースです。
レンズ厚、レンズ間隔に関する誤差パラメータが計7点ありますので、それぞれに関するMTF変化量について散布図を描いています。
光学指標は軸上メリジオナルのMTF変化量です。
こちらはほぼ同一の結果になりました。
他のケースでも似たような結果になることを確認しています。
グラフの傾きが異なる原因は公差解析機能というより、MTF解析結果の両者の微妙な差のようですね。
ソフトウエア間でMTFの値が完全に合致するということはあまりありませんから…。
結果から言うと、両者ともに同じような数値を出してくるな、という感触を得ることが出来ました。