設計者コラム
#011 ズームレンズ設計時のマルチコンフィグ
今日はズームレンズを設計する場合の基礎の基礎をお話ししたいと思います。
ズームレンズを設計する場合、通常ZEMAXのマルチコンフィグ機能を使います。
各コンフィグにワイド、ミドル、テレといった焦点距離を割り付ける形ですね。
ズームレンズは通常、複数のレンズを幾つかの群(『グループ』とも呼ばれる)に分割し、それぞれの群が位置を変えることで焦点距離を変化させる構成になっています。
最適化設計中でも群内のレンズは、各コンフィグ間では厚みや曲率半径など同じ状態を保つ必要があります。
最適化で厚み・間隔・曲率半径は変化するけれども、各コンフィグ内では同一の値を持つということです。
ちょうど下図のような感じです。
図では3群から構成されるワイド、ミドル、テレの3つのコンフィグのレンズ状態を示しています。
各群は間隔を変えていますが、群内のレンズ状態はどのコンフィグと比較しても同じ状態です。
これをどのようにマルチコンフィグで表現するかですが、以下のように設定します。
マルチコンフィグは左からワイド、ミドル、テレとなっていて、第4面、第14面、第16面がズームによって変更される面の間隔を表しています。
THIC 4, THIC 14, THIC 16となっている部分が間隔に相当する設定項目です。
またそれぞれの間隔の値に『V』が付いていますが、これは最適化の時に自動的に変更されることを示しています。
ズームレンズには他にもコンフィグごとにFナンバーを変えたり、全長が一定になるような縛りが必要だったりするため更に工夫が必要になってきます。
これらについては必要に応じて設定してください。